社会は俺をクズと呼ぶんだぜ

教習指導員の本音、書きます。

マイケルジャクソンの声でYOASOBIを歌いたい

教習中、女子生徒から

「マイケルジャクソンは去勢したから声が高いんですか?」

と、何の脈絡もなく聞かれた。

 

 

 

相当マイケルジャクソンの股間に興味があったのだろう。

俺は真摯に答えた。

「分かんねえ」

と。

 

 

 

 

確かに、去勢することで男性ホルモンの分泌が抑制されて声が高くなるという話は聞いたことがあるが、俺はマイケルのマイケルJr.を見たこともないし、マイケルの2つの玉(以下、"ジャクソンファミリー")もあるかどうかを知らない。

 

 

 

 

そこで会話を終わらせると、突然マイケルジャクソンの股間にあるジャクソンファミリーの話をした女子生徒が可哀想になると感じ、俺は咄嗟にフォローの言葉を発した。

 

 

 

 

「…でも、カラオケでも高音が出せるなら、俺も去勢しようかな…」

と。

 

 

 

(かつてはウィーン少年合唱団並みの高音で一斉を風靡した俺も、中学で声変わりをし、『千の風になって』しか歌えない声になってしまったことに劣等感を抱いていた。)

 

 

 

俺が去勢すれば、昔の声に戻れるかもしれない。

それだけではない。

もしかしたら、『ジャパニーズ・マイケルジャクソン』にもなれるかもしれない。

 

 

 

仕事終わりの夜8時のスーパーでは、ムーンウォークをしながら売れ残ったお惣菜を手に取って、レジではスムーズクリミナルのような直立したまま前屈みになり、お金を払う時には「…ポゥ!」と声高に叫ぶことになるだろう。あまりにスリラー過ぎるので、周囲の人もビートイットするに違いない。

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マイケルジャクソンの声になれば、女性でもなかなか出ないYOASOBIを原キーで歌えるだろうし、ズボンの裾から白いソックスが見えても馬鹿にされることがなくなるし、俺が去勢するメリットは計り知れない。

 

 

しかし、そのメリットを享受するにはデメリットが大き過ぎることに俺は気づいた。

 

 

それは、去勢によりマイケルジャクソンの声になってYOASOBIを原キーで歌えるようになったところで、去勢してるが故に俺は死ぬまでYOASOBIは出来なくなるし、夜に駆けることも出来なくなるからである。

 

 

 

YOASOBIを歌えなくていいから、俺の股間の"怪物"を切り落とさずにYOASOBIをし、「もう少しだけ」「もう少しだけ」と言いながらホテル街へと消えて行きたい。

 

 

…正気の沙汰じゃないな

 

僕の在るべき姿とは何だ

本当の僕は何者なんだ

教えてくれよ

教えてくれよ